犬がいた季節;伊吹有喜
「犬がいた季節」を読み終えた。
とても懐かしい思いとともに、積極的な描写があふれる日常において、
登場人物の細やかな心の動きが犬の視点で語られる様は
自身の心に潤いを与えてくれるようであった。
詳しいほどではないが見知った土地・地名が登場し、読みやすく、また、
一つの高校を舞台に時間軸が垂直に積みあがっていくことが、
今日も此処以外のどこかで繰り返される日常が存在することを
改めて認識させてくれる。
自分が高校生の頃が思い返され、あの時ああしていれば、
という後悔とはまた別の心地よい感傷に浸らせてくれた。